仕事人T氏が語る「宅地開発とは」
我々の仕事は、言わば「潜る」こと。
表彰されたり、お客様の笑顔を目の当たりにすることを華やかな「地上の仕事」とするなら、我々がやっているのはスポットライトの当たらない「地下の仕事」だ。
陽が当たろうが当たるまいが、そんなことはどっちでもいい。自分たちの仕事のおもしろさは自分たちが一番よくわかっている。
誰も見向きもしなかった土地が、自分の執念で魅力的な街に変わった瞬間の興奮。
目の前で会社の口座から10億円が消え、責任の重さに足が震えた、銀行の応接室でのあの恐怖。
役所の理不尽な指導に立ち向かい、プロジェクトが続けられると決まった帰り道であふれた涙と安堵感。
不可能だと思われた現場の工事を、予定通りに終えられた達成感。
Googleマップに、自分のプロジェクトが反映されていることに気づいたときの誇らしさ。
自分の物件が次々と売れていく、うれしくも寂しい気持ち。
プロジェクトが完了して、誰も自分の物件の話をしなくなるあの虚しさ。
もし失敗すれば一瞬で莫大な負債を生み出してしまう。
そんなリスクに何年も向き合い続けた者だけが、はじめて「多くの人とお金を動かすことの重さ」に心震わすことができる。
泥臭い?地味?時代遅れ?上等だ!我々はこの仕事に誇りを持っている。
開発の仕事は、ただ土地を仕入れるだけではない。数億円という途方もない金と、会社を動かしている。
ゼロからイチを生み出すこと、それは会社の未来をつくるということだ。