◆家族思いなT氏の行動派な一面
あれから数年がたち、「素敵なお家をありがとう」とカワイイメッセージをくれた子どもたちも大きく育ち、1人は高校受験を迎えている。去年の末からは塾にも通い始めた。
ただこれも、T氏の活躍が大きい。
勉強がなかなかはかどらず、学校の成績もなかなか上がらない。
本人もそろそろ塾に行き始めたほうがいいのか…周りの友だちもほぼ9割方塾に通っている…そんな不安も募っていく。
友だちにどこの塾がいいか聞いてきたら?と奥様からも促すものの、なかなか前へ進まない。
ここで登場するのがT氏。行動派である。
見るに見かねて、近所の塾という塾を片っ端から資料請求をしまくる。そうして家には大量の塾の資料が送られてくる。
ポストに入り切らないことも…。
そして、数日後、T氏の電話は鳴り止まない。仕事をしていても、塾からの電話がひっきりなしにかかってくる。たまには出るけど、押しの強い営業をあまり好まないT氏は、「資料みてよかったらこっちから電話するから」を冷たくあしらうのみ。
しかし家ではその資料を開けようとは一切しない。
仕方なく、奥様がすべてを開封し、目を通す。良さそうなところを子どもと相談する。
そうやって、奥様と子供がようやく動きだしたようだ。
数日後には、奥様と子どもで塾の説明会に行き、気に入った塾を見つけたそう。
そして未だに、T氏の携帯には塾からの勧誘電話がなり続けているらしい。
余談だが、受験生の子供ためにそれまで衣装部屋になっていたT氏の部屋を明け渡したそうである。
男らしく、言葉はなくても、その行動が家族思いであることが伝わってくる。素敵な家がこれまでは一緒に住まう家から、個人個人を尊重する家へと変遷していくのであった。