◆仕事人T氏がつくった街のその後
T氏が率いる宅地開発グループがつくった街。
タコ足にしか見えないと言われたヘンテコな土地を、「共用庭」というコンセプトで見事に生まれ変わらせ、販売開始から約1ヶ月でスピード完売に至った「某プロジェクト」。
完売から数年。たまたまこの街の近くを通ったとき、何やらワイワイと楽しそうな声が聞こえてきた。
もしかして…と思い、あの思い出の「某プロジェクト」の前まで足を運ぶ。建物の外観はさすがに以前より汚れてはいたが、変わらぬ佇まいで家が並んでいた。
そして、ちょうど街の中心にあるあの「共用庭」に目をやると、いくつかの家族が集まってBBQをしていた。
当時、まだ子供のいない若い夫婦や、まだ子供が小さいご家族の方が中心にこの街の物件を購入されていったのだが、もう保育園や幼稚園に通っているくらいだろうか。少し大きくなった子供たちが、大人が談笑している周りを走り回っていた。
元は全くの赤の他人だった家族同士。私達がつくった街で、新たなコミュニティが生まれている。ここで生まれた子供たちが、ここで人間関係を築き、また外に出て活躍していく。
たかが家。されど家。
この人達の人生の舞台の1つを我々がつくったのだと思うと、なんと尊い、価値のある仕事だろうと、子どもたちの笑顔を見ながら目頭が少し熱くなった。
当時のT氏の言葉や、宅地開発グループのことを思い返しながら、その場を後にした。